《MUMEI》
完璧な忍
『ちゃんとお前も俺に合わせろよ』


そう、忍からは言われていた。


「ファ…アッ…忍っ…」


(ここまでする必要ね〜だろ!)


俺は『何でもする』と言ってしまった手前、忍に合わせて演技の為に


忍のキスに合わせて舌を絡ませ感じているフリをしていた。


…もちろん、あの


祐と、葛西先輩と


安藤先輩の目の前で。


「祐也が普通の友人には知られたく無いって言うから、今までそうしてきたけど、君達は俺達みたいな関係に理解があるんだって祐也から聞いたからね」

「だからって、こんな…」
「祐也は照れ屋だなぁ。ベッドでは激しいのに」


(抱きつくな! 撫でるな!)


「…本当に、恋人、いたんだ」


「そ、そう!」


俺は、恋人が死んだと言ったら安藤先輩はまた疑いそうだから


遠距離恋愛の恋人がいると言ったのだ。


「たまにしか、会えなくていつも済まないね、祐也」
「仕方ないよ、忍」


(だから、額にキスとかすんな!)


「そうかあ、祐也の好みは大人でガッシリ系かぁ…」
「ごめんね、君のじゃ、祐也は満足出来ないんだ。

俺くらいないとね」


忍は、何もそこまでというほど完璧に演じきった。

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