《MUMEI》

中まで豪奢だ。
直ぐにタオルを渡された。

「風呂を貸そう」

此の場に相応しい親子だ。


「いえ、私より息子さんを」

風邪をひかせてはいけない。


「三つ目のを使うから。」

そう言い残して息子さんは一人でさっさと行ってしまわれた。

三つ目のお風呂があるのか……


「案内する。」

肩を掴まれた。
誘導に近い。


「いえ、そんな……」

断る理由が、思い付かなかった。


「来なさい。」

乱暴な言い方ではないけれど、急に怖くなった。


「……はい」


何がいけないのかさえも曖昧で、それ以上は喉が畏縮して声が出なかった。

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