《MUMEI》
「貢って結構道知ってんね、俺今此処に置いてかれたら帰るの夜だよ」
「う〜ん…、上京したての頃珍しくてあちこち散策したからね、――かえって地方の人間の方が詳しかったりするって言うし?」
中央に置かれたオシボリとお冷やを俺の近くにスッと移動させる。
メニュー表を開き俺に見やすい様に向ける。
――何気なく行動する貢がやっぱり、今まで何人もの女の子を相手にしてきたのが伺えて…。
ちょっと焼き餅…。
……仕方ないんだけどさ
……ああもう!
止め止め!!
「――Aランチにしようかな?」
「うん、じゃあ俺も聖と一緒にしようかな」
「お〜!聖久しぶり〜」
「―――
うわっ!びっくりした!何だよ!何でいきなり湧いてくんだ?」
いきなり目の前にめっちゃ久しぶりな、小学生ン時からのダチが居て!!
「こんちわ〜」
真っ黒に焼けた顔から溢れる白い歯。
それを貢に満面の笑顔で向ける朝倉誠。
「こんにちは」
その笑顔に、極自然な笑顔で静かに返す貢。
「聖、紹介して?」
誠は俺の肩に手を置き、そしてそれはするりと背中を撫でた。
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