《MUMEI》

「何あれ…」
「ん?何が?」
「――― アイツ…」
「誠?ああ、ずっと仲良かったんだけど高校べつになってからあんまり会わなくなってさ、5月位までは良く泊まりに来てたんだけど…」
「――泊まり?」

ちょっと半泣きな貢。
誠に焼き餅焼いてる…
誠は常に女切れた事がないタラシで俺に何の感情もない、まあ俺もだけど。

「アイツとは何もないから、わかってんだろ?――俺、貢が…
初めて…の……」
途中で恥ずかしくて言葉に詰まると、手をキュッと握られて
「そうだった、ごめんね?そうだね…、
聖の大切な友達の事勝手に嫌うとこだった、ご免」

今度は本当に申し訳なさげに…

本当、最近表情が豊かになってきた。

「だいいち誠は彼女いるから、それに小学生ン時から泊まりに来てるけどバカ騒ぎしかしてねーし」
握られた手に残りの手を重ね、貢の手を握る俺。
テーブルごとに簡単な壁で仕切られてなかったらこんな事出来ないんだろうけど…、
周りに見えない事を良い事に俺はちょっと身を乗りだして

「チュッ…」

「あ…」

貢の頬にキスをして、ちょこんと座る。

「――俺が好きなのは…、貢だけだから…」
「聖…」

上目使いで一瞬だけ貢をちら見。
ますます恥ずかしくなっていると…

「どうしよ聖?またしたくなってきた」

俺の手をニギニギしだして…

「トイレ行こうよ…」

「――あう〜…」

ちょっと、抱きついて甘えたくなってる俺。

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