《MUMEI》

「モモ……喰べないそうだな。」

長時間裸で手足を拘束され、他人から物を食べさせられるだなんて、耐えられない。
私なりの反抗だ。


「このまま何も口にせず衰弱するようなら体の中に栄養を供給出来れば良い。」

それは実質、私が寝たきりになっても関係ないということだ。


「貴方は……何をしたいんですか?」


「やっと口を開いたな?」

私のずっと寝ているベットの端に黒い着物の彼が座る。僅かに軋み、背中に振動が伝わる。

首の鎖を引っ張り上げられる。


「……痛……!」

固定されているので塊のように手繰り寄せられた。


「一日半、何も口にせず拘束されればさぞ辛いだろうな?
手足の皮は擦り切れ血が滲んでいるのか?主人を“貴方”などと愚弄する馬鹿者は此処から口に向かって剥いでやろうか?」

擦れた足首の傷に爪を立てられた。


「……ッ!」

足の痛みが衰弱しかけた身体を刺激する。
下唇を噛み締め、堪えた。


「モモ、お前は知らなければならない。衣服を与えないのは神経を鋭敏にする為だ。」

乳首を指で撫でられる。


「 ……ッ、」

相手を煽らないように意識しないでいた姿を指摘され、羞恥が噴き上げた。


「……桃色に膚を染め上げ悦く鳴きしきりたまえ。」

撫で付ける指が爪を立て、突起を摘む。


「……アアッ」

水分を与えられずかすれた喉で叫んだ。



「モモ、人間が最も美しいのは生まれたままの姿だ。お前にはもう何も無い。私が奪ってやった。」

鎖を引かれ、ベッドから転がり落ちる。

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