《MUMEI》
二日目の朝
〔宿屋、玉華〕
遠く鳥のさえずりが聞こえてくる。すっと目を開けるとそこは見知らぬ天井、
「そうだ、エデンじゃないんだよな・・」
そう声に出し確認。窓を開け外の様子を眺める、空は快晴、今日もいい天気だと心の中で思う、すでに日は高く、街には人が多く出歩いている。
さて、と伸びをし、顔を洗いに洗面所へ、身だしなみをざっと整え一階へ降りて行くと丁度階段を上がってきた店主に会う。
「お、起きたか。遅いから起こしに行くとこだったんだぞ。朝飯用意するから食堂で待ってろよ〜朝食べないんですとか言ったら蹴っ飛ばすからな。」
苦笑交じりにおはようございますと返し食堂へ向かう。食堂には数人の客が食事を終え世間話に興じている。空いている席に座りそれとなく周りを見渡す。冒険者のような身なりをした人ばかりでなく、普通の街の住人も混じっている。こちらに気が付きおはようと声を掛けられ急いでおはようございますと返す。
「ほいよ!お待たせ。俺様特性のトーストとスープだ。ちゃんと食えよ。」
そう言って運んできた食事は食パン×3枚分くらいの大きさのトーストと片手鍋一杯に入ったコーンスープ。え・・と固まっていると、全部食えってわけじゃないぞ?そう言いながら皿を出しスープを注ぐ。
「ありがとうございます、でも・・トースト大きいですね、こんなに食べれるかな?」
「これくらい食べとかねぇとな。冒険者なら食えるときに食う!それが鉄則ってもんだ。」
肩をバシバシ叩きながらもう一枚焼いてやろうか?と言い出したので大急ぎで食べていく。
周りからは笑い声。周りの客のうちの一人、赤茶けた髪の青年がこちらに歩いてきた。
「親父、最近の子は小食なんだぞ。知ってか?坊主も残して構わないんだって。」
「けどな!やっぱこう一杯出てきたほうが嬉しいだろ?こう・・視覚的に!!」
自分で言って頷いている店主に、やれやれ・・と肩をすくめる客、
「冷める前に食っとけよ、味は結構まともだしな。」
それが無きゃこんなボロ宿潰れてると笑いながら言ったのに対し店主は、つまり俺の料理の腕でなんとかなってるって分けだと胸を張る。トーストとスープは実際においしく、どんどん食べられる。朝からこの量は・・と思っていたものの3分の2は平らげ、ご馳走様でしたと言う。おうよ!そう答え親父は食器を持って奥の厨房へと向かう。
「へ〜結構食ったな。無理して食わなくて大丈夫だったんだぞ?」
そう言いながら向かいの席に座ると、
「俺はジェイク、ここの常連客って奴だ。ここにしばらく泊まるなら何度か会うだろう?よろしくな。」
「狩月です。よろしく。」
ジェイクに対し軽く頭を下げる。するとジェイクは、カラカラと笑い
「敬語じゃなくっていいっ〜の、似たような年齢だろうしな。」
「そうかな?それじゃ改めてよろしくジェイク。」
「よろしくな、狩月。っともうこんな時間か・・始まっちまうな。」
じゃあな、そう言うと何が?と問う暇も無く宿を出て行った。何だったんだ?と首を傾げつつ自室へ戻り、旅支度を整える。地図を広げ現在地位を確認し、いざ街へ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫