《MUMEI》

「―――」

「―――」

「わかってるから…」

「――――」


「隆志本当は俺の事負担に感じてるだろ、
……つか、本当は
怖いだろ?」



複雑な家庭環境に育った俺と裕斗とは違い、隆志は普通の…極普通の家庭に育った。



仕事の面でも俺から見た感じ苦労した事がない。




何もかもが違うから…、



「――俺は惇の事…」


「昨日、俺は裕斗にキスした」

「―――――」


「好きだって気づいて…、キスした。

それ以上の事も望んだ…、
抱かれたかった…」


「――――」


「――――」




隆志は俺からタオルを剥がすと洗面器ごと台所に行く。




冷凍庫を開ける音がして、氷をガサガサと入れる音がした。


「――で?…俺とは別れたいのか?」


「分かんない、―――…、何も…」



「――――…、
俺は別れたくない…つか、


……もう離さないって…言っただろ」




「――――」




ガタン!!!




「!!た、たか…」




俺は慌てて起き上がる。





――洗面器が床に転げ、床に氷や水が豪快に散らばっていて…





隆志は…今までに見た事がない、怒りの表情でその床を睨みつけている。




「怖かったよ、怖いに決まってんだろ!
怖いに…、怖くちゃいけねーのかよ!
あったりめーだろ!
死ぬかと思ったんだ!
ああ、お前の病気、スッゲ負担!本当なら病院付き合う暇あったらお前と一緒に飯くったり遊びに行きたいね、二人で買い物したり、なんでもねー話したり…、だけど!



俺は惇が大切なんだよ、怖いけど負担だけどそれ以上に愛してんだよ!!
つか、今更裕斗がどうのとか言ってんじゃねえよ!」

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