《MUMEI》
12#
「ジジィ、そこを退くでおじゃる。麿のベッコウの居所は後ろの小僧がよく知っている様だのぅ」

草馬を見て能面のような顔がニヤリと歪む。


「甲条院殿、屋敷への出入を禁じたはずですぞ。
出入を禁じた者は何人たりとも屋敷の人間に接触してはならぬと知っておいでじゃろう。」


フンッと鼻をならし、甲条院はムチに力を込める。

「屋敷の者でおじゃるか…笑わせるでない!この老いぼれジジィ!!」

ヒュンッッ!!
主に握られていたムチがしなり、傷口を広げる。

「ベッコウは元々、麿の物でおじゃる!!!」

「………ベッコウが、甲条院のもの…だと?」

「そうでおじゃる。ベッコウは麿のものでおじゃる!屋敷の者とは笑止。」

「どう言う事ですか、お屋敷主様」

主は草馬に背を向けたまま、黙り込んだままだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫