《MUMEI》

萌は大分滅入っていて、国雄とのことにも感づいていた。



「……萌、結婚しようか。」

昭一郎との関係は感づかれたく無かった。

そして、俺がこうしてレイに関わることで国雄が気にかけ、昭一郎が動き出す。

萌が俺を刺したせいで国雄も気が立っている。
昭一郎からそれは見てとれた。


「おめでとう」

彼は愛想無い声で言う。
理由とか、何も聞いてくれないのだ……


萌を言いくるめ、国雄と昭一郎とレイで食事をすることにした。



レイは国雄が入れ込みたくなるようなタイプには見えなかったが、彼女は国雄の前だと纏う空気が違う。

彼にとって特別“の”ではなく、“に”なっているのだ。


意図的に彼を惹きつけるようにしている。

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