《MUMEI》
ブログ
「明日はちゃんと学校に行きな。見送りに来たらその可愛い顔を叩いてやるからね」

「でも…」

「施設代表で、屋代が見送りに来るらしいし。
あれは真面目な男だから、学校サボったなんて知ったらうるさいよ。

お隣さんなんだろう?」

「それでも…」


なかなか納得しない俺を見て、春日さんはため息をついた。


そして、俺に葉月さんを呼ぶよう告げた。


「どうしたの? キヨさん」

「お前、祐也に、日記見せられるかい?」


(日記?)


首を傾げる俺の横で、葉月さんは少し考えて


「あぁ、俺のブログね。うん、出来るよ」

「…教えておあげ」

「了解!」


そして、葉月さんはメモ用紙を一枚渡してくれた。


「そこにね、俺の『キヨさん情報』更新するから」

「それで我慢しな。あたしは電話は苦手だし。

それを書いた時

手紙も、もう無理だと思ったから」


俺がもらった真っ白い封筒に書かれた『祐也へ』の文字は、よく見ると、ところどころ歪んでいた。


「さっきだって、力いっぱい握ったんだよ」


春日さんはそう言ったが、俺は全然痛くなかった。


「だから、祐也。…これで、納得しておくれ」

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