《MUMEI》

「おーい、周哉ー」
またか、と思いながら周哉は振り返った。
今回は、知らない(忘れてた)人ではなく、よく知っている人、奈々だった。
「奈々じゃん、どうしたの?何か用?」
「うん、ちょっとね。歩きながら話そ」
そう言うと奈々は歩き出した。
(何の話しだ?)と思いながら周哉は奈々について行った。
しばらくすると奈々が、
「ねえ、あのさ」
と話しかけてきた。
「なに?」
「さっき一緒に話してた人さぁ」
「あぁ、弥生さんのこと?」
「そう、その人、あの人って周哉とどういう関係?」
「あぁ、あの人は、俺の新しい母親だよ」
奈々はポカンとした。
「・・・へ?母親?じゃあ直人さんの再婚相手?」
「そう」
「え〜〜〜!?嘘でしょ!?あんな若いのに?」
「そこは俺も謎なんだよ」少し苦笑する周哉。
「な〜んだ、そうなんだ」あはは、と笑う奈々。
「どんな関係だと思ったの?」
周哉が聞くと、
「べ、別に何とも思ってないよ」
(まさか、恋人だと思ってた、なんて恥ずかしくて言えないよ)
その後、二人は少し雑談してから、それぞれの家に帰った。

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