《MUMEI》 普通になる時の注意事項忍が帰った後、俺はまず風呂に入ってパジャマに着替えた。 それから、春日さんの手紙が入った封筒の封を切った。 中には、便箋が数枚入っていた。 書かれている文字は、やはりところどころ歪んでいたが、読めない部分は無かった。 手紙の内容は、俺が何度も口にした普通という単語についてだった。 春日さんは、はっきりと普通は何かとは書いていなかった。 『普通は人によって違うから、自分で見つけるしかない』 簡単に言えばそういう内容だった。 しかし、春日さんはより具体的にいくつかの注意事項を書いていた。 例えば 『ありのままでいるのが普通だと言う人間がいる。 ありのままで、迷惑をかけない人間なら問題無い。 ただし、これが自分だと開き直り過ぎると、それは周りに迷惑をかけるただのわがままな人間になるよ』 周りから変わっていると思われてもありのままでいる人間は確かにいる。 俺はこの文章の前半で志貴の顔が浮かんだ。 志貴は誰にも迷惑はかけていなかった。 開き直り過ぎてわがままになる人間も心当たりがあった。 (思いっきり、祐だ) 俺は手紙を読みながら苦笑していた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |