《MUMEI》

「――なんか俺達って家にいた方が良かったっぽい?」
「そうかもね、何時でもいちゃこらするのに慣れてたしね」
小さな声で行こう?って言われて、俺も小さくうなずく。

「HappyBirthday、聖!」

「わっ!たっ!誠!」
またまたいきなり誠が現れて慌てて握りあっていた手を引っ込める。
そしてもう一つ現れたもの…
「こんなでっかいケーキ頼んでねーよ!」
テーブルの中央に置かれたデッカイチョコレートケーキ!
ホールまるごとでめっちゃめちゃうまそう!
「うん、俺の奢りだから気にすんな?
な〜んて実は今日いきなりこれ持って遊びに行くつもりだったんだよ、俺なにげに聖が16歳になるのまってたからさ」
「…?待ってた?」
誠は俺に向かい見下ろしたまま、ニコニコしていたが、いきなり真顔になった。

「俺中学ン時から聖の事、恋愛対象としてみてきた、
何度も諦めようとして色んな女と付き合ったけど結局駄目だった、
高校も離れれば忘れられるかと思って
全然遠い学校いったけどやっぱり駄目だった。

−−、聖、俺は聖の事が好きだ、
俺と…付き合って欲しい」

「誠…」

……誠が…

俺を?

中学時代女の子に一番モテてた…

カッコイイ誠が俺を?

……

「聖、本気なんだ、
今日聖の誕生日利用して…、告るつもりだったんだ…」

俺の両手をギュッと握りしめてきた誠。
浅黒いその大きな手をじっと見ていると

「悪いけど聖はもう俺のモノだから、


…だからこのケーキ下げてそしてその薄汚い手、……どかさんかいワレぇ!」


貢はケーキをぎりぎり端っこまで…、いや、落ちる勢いで動かした。
貢…、物凄い鬼の形相で誠を見上げ…

そして誠を見ると…

誠は余裕の表情で、貢を見下ろしていた。

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