《MUMEI》
小学生クロ
「お母さ〜ん!!」


「あら小太郎。


よく来たわね。」


「ね、お母さん聞いて!!


僕運動会でリレーの選手に選ばれたんだ!!」


「あら凄いじゃない!!」


「しかもね?


アンカーなんだ!!


お母さんアンカーって知ってる?


1番最後に走る人のことなんだよ!!


1番速い子が走るの!!」


「凄いわね〜!!


じゃあ小太郎がクラスで1番足が速いんだ!!」


「そうだよ!!


この前も1番だったし、


鬼ごっこでもいっつもつかまらないんだ!!


僕が鬼の時は皆すぐつかまえちゃうの!!」


「凄い凄い!!


小太郎は足が速いのね〜。」


「うん!!


お母さんも運動会見に来られればいいのにね。」


「うん。


ごめんね。


お母さんも見に行きたかったなぁ〜。」


これはクロが小学2年生の時のお話。


クロの母、


黒田綾子は入院していた。


学校が終わるとクロは、


1人で家にいた。


父は帰りが遅かった。


どうしても寂しい時には、


クロ1人で病院に母に会いに行っていた。


母と話す時のクロは、


凄く楽しそうだった。

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