《MUMEI》
自分
俺は今年の春に高校生になった。


澄み渡る空が広がっている。


穏やかに流れる風が心地良い。


。。。いや、実際は違う。


空は青く澄み渡ってないし、
風なんて心地良くもない。


土砂降り。


これが現実。


そんでもって今は教室でホームルームと言う名の、
ありがたーい入学祝いの長話。


ああ、もうイライラしてきた。


早く終わんねぇかな。


ふと窓を見る。


チッ、まだ雨降ってやがんのか。


「おーい、そこの奴、

先生の話聞いてるのかー?」


先生が俺の方へ向かって来た。


あーあ。


さっそく先生に目付けられちまったよ。


先生が俺の席の真ん前まで来た。


それとほぼ同時に、
俺の爪先に先生の靴が当たる。


その時、頭にカッと血が上るのを感じた。


自分でもヤバいと感じたその瞬間、


「触るなっ!!」


教室中に響き渡るほど大きな声を出していた。


今さっきまで少しざわついていた教室が、


ウソの様に静まり返っている。


「な、何?君いきなり…」


突然のことで困惑しているのか、
先生はしきりに油ぎった手で分厚い黒眼鏡を直すばかり。


「だから触るなっつっただろ?」


こうなると自分でも止められない。

次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫