《MUMEI》

「あー、終わっちゃった……七生ごめん……。」

七生は後ろに下がって大人しくしている。


「先輩、ココどうぞ。」

目立たないように入り口近くにある安西の場所に入れてもらった。



『――――先程、朗読しておりましたのが私の孫である、七生でございます。』
今話しているのは七生のお祖母さんだ………


『瞳子さんも松代家のご息女らしく麗しい女性になられましたね。』

あの、七生の誕生日会より比較的ご機嫌なようだ。


『一昨年逝去されました瞳子さんの祖母である知寿子さんとは旧知の仲で、私も瞳子さんは自分の孫のように思っています。』

知らなかった……そういう繋がりなんだ。




『瞳子さん、二十歳のおめでたいこの場を借りて発表いただきます。

七生とご婚約を致しませんか?』








……………………はいぃ?


会場の皆さんは哄めいた。

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