《MUMEI》 揺れる恋心「祐と付き合う前に、一回告白されたけど、断ったの。 私は祐が好きだったから。 どうしても、彼女になりたかった。 どうしても… でも、祐は 私だけの祐になってくれない。 修学旅行の自由行動も、私達『日替わり』だったのよ。 その、祐と一緒にいない時に、彼が来たの」 俺は、旦那様がいない時に、…弘也に 嫌な想像をした俺に、安藤先輩は苦笑した。 「私は友達と一緒だったし、あっちもそうで、皆で普通に楽しかったわよ」 (なんだ) 俺はホッとした。 「彼は、私が寂しいのに気付いて、すごく優しかった。 元々、いい人だから。 だから、あれ以上、迫られたら、流されそうで…怖かったわ」 (それって…) 俺は安藤先輩が襲われていると思った。 一方的に、言い寄られているだけだと。 「もし、あなたが止めなければ… ううん、…忘れて、今のは。 祐にも言わないでね。 私は、祐の彼女でいたいから。 祐の性格なら、私を引き止めてくれないから。 …寒いわね もう、行きましょう」 安藤先輩は寂しそうに笑って立ち上がった。 俺も黙って立ち上がり、俺達はそれぞれの教室に戻った。 前へ |次へ |
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