《MUMEI》 父さんと向かった先は、陸上競技場。 「珍しく遅かったな〜。」 競技場に着くや否や、 同じ陸上クラブメンバーの一人が話し掛けて来た。 「あぁ、まあな。」 「あ、そうそう、 今日はお前の学校の陸上部が来てるぜ!!」 「…あ、そう。」 別に特別な感情は湧かなかったが、 取りあえず辺りを見周した。 やべ…!! 慌てて目を逸らしたが遅かった。 「あーお前!! 何でここに居るんだよ!!」 ニコニコしながら成瀬が駆け寄って来る。 言い返そうとすると、 「颯馬知り合い?」 同じクラブメンバーの奴が尋ねて来た。 「颯馬?」 成瀬が突然黙り込む。 「珍しいなあ!! 颯馬がこんな低レベルな奴と知り合いだとは。」 「は?」 少しの間何か考え事をしていた成瀬が、 眉を吊り上げる。 「別に同じクラスメイトだよ。 なあ!!」 成瀬が俺の方に向く。 「は?人違いじゃねぇ? 俺こんな一般人知らないんだけど。」 「えっ!?」 「ほらな、颯馬がお前みたいな奴知る訳ないじゃん。」 成瀬は信じられないといった顔で、 呆然とその場に立ち尽くして居る。 俺はあとで声を掛けるべきか迷っていると、 「やっぱ颯馬があんな凡人と付き合う訳無いもんなあ!!」 追い討ちを掛けるように仲間の奴が言った。 そうだった。 俺は凡人に対しての感情なんて抱いたらいけないんだった。 前へ |次へ |
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