《MUMEI》
使命
死ぬ前に父に渡されたのは地下に作られていた依子を匿う部屋の鍵だ。
恐らく、父は此処で依子と褥を共にしていた……。

僕は父に言われた通りに依子を守り、愛した……




「武丸兄様、依子は兄様を愛しております。」
義母が死んでから五年間、夜に父と出歩く以外は地下に幽閉されていた依子は外界の汚れを知らず美しい娘であった。

「依子、僕も依子だけだ。」
十四になる僕の美しい花……依子の為なら何でもしよう。

「お屋敷の中は恐ろしい思い出ばかり、だから依子は此処が一等好き、兄様と二人で気持ちの良いことばかりですもの。」
依子は僕の与えるもの全てを好いた。





「兄様、依子最近、具合が悪いのです。お腹も膨らんで…………」
依子は僕との子を身篭っていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫