《MUMEI》
我慢
「ん………」

「起きた?」

「……お前なんか大学落ちてしまえばいいんだ」

「イヤ――!!!!お願いしますっ!見捨てないで」

わざとらしくすがりついて来る由自のおでこにデコピンをかました。

「痛っ」

「お前のおでこの痛みに比べたら、オレの腰の痛みなんて……」

「今日からは本当にしないから!だから見捨てないで……痛っ」

オレはまたデコピンをかました。

「見捨てねぇよっ!夏休み返上で見てやるから真剣にやれよ?」

「あ…ありがとうございます!俊先生っ!!大好き――!!」

「ウザイって。腰痛いから離れてくれ」

結局、この日は自力で一歩も動けなくて、オレはほとんど寝たきりで過ごした。

「………おっ85点」

「マジで?」

「でもT・Aで満点取れないとキツイぞ」

「嘘」

「嘘じゃない」

「ちぇー」









一ヶ月目はよかった。

何回もケンカしたから一ヶ月くらいの間はなんともなかったけど、二ヶ月も経つと、ヤバくなってきた。

――オレの身体は一体どうなってんだ?

由自と顔が近付いたり、ちょっと触れるだけで下半身がビクッとする。

着替えを取る以外は部屋に戻ることはない。

風呂も食事も由自の部屋で済ませていたから。

由自は寝るギリギリまで勉強を続けるため、部屋に戻って寝る体力はその時オレには無い訳だ。

……だけど隣で由自が寝てるってだけで、オレはもうヤバイ。




「……俊、お前顔色悪いぞ?なんで受験生のオレよりお前の方が顔色悪いんだよ」

「………………」

――誰のせいだよ、とも言えず。

「わかんねぇ」

心身ともに疲労していた。

性欲がたまる一方の下半身。

受験という壁に体当たり中の由自にそんなことは言えない、というもどかしさ。

頭おかしくなりそう。

しかも、由自の開発のせいでひとりではイけない身体になってる。

マジでどうしよう…。



「……俊?どうしたんだよ?オレに話して」

「―――っいいから……いいからそれ早くやって」

由自の顔が近付いた。

抑えるのに必死。

「顔赤いよ?熱でもあるんじゃ……」

突然由自のおでこがオレのおでこに触れて、必然的に顔が近付く。

すると余計に顔が赤くなり……。

「ね…熱なんか無いからっ」

「じゃあなんで顔赤い訳?」

「そ、それは」

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫