《MUMEI》
侵入者
「武丸君、知っているんだよ。君が何をしているのか……」
分家の伯父が訪ねて来たと思えば強請にきた。


「……いくら欲しいのですか。」
依子は失踪したことになっている、更に戸籍上は妹なのだ。それを幽閉し、妊娠させたとなれば……


伯父の要求は日に日に酷くなって行く。
私の心痛も増し、体までにも影響し始めていた。

「……兄様……」
夜中、廊下に依子が居た。

「……依子、何故此処に」

「兄様ったら鍵を閉め忘れているんですもの。これで四回目。その度に深夜私が兄様のお部屋に教えに行ってさしあげたじゃない。」
依子はくすくすと笑った。

「そう……そうだったな。」
その度、僕は月夜の依子の肌のきめ細かさに負けて愛し合ってしまった。

依子の肚も僕の子供と共に成長している。

「兄様、元気ないみたい。大丈夫?」
この無垢な依子は僕が守らねばと、父の形見のパイプを吸いながら思った。

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