《MUMEI》
企て
「伯父さん、このままでは埒があきませんね。因幡の財産を半分そちらにお渡しします、それならどうですか?」
これで、終わりにしよう。


「……いいだろう。」
伯父はほくそ笑む。

「良い訳無い……そんな筈無いわ!」

「依子……!」







僕は大きな過ちを犯した。

地下の鍵を閉め忘れていたこと。
依子も因幡の財産を守る事を父から聞かされていたこと。


依子は鈍器で伯父を殴り殺していた。

「……依子も因幡の人間です、どうして言って下さらなかったのです。
あの人はまた因幡の全てを奪いにやってくるに決まってます!この、下賎な者に兄様と依子の家を汚させはしません。」
なんと、気高い瞳なのか。
嗚呼、神よ。
僕は父の遺言を守れず、愛する女性の手を汚してしまいました……。

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