《MUMEI》
ひとり
「何?」
「お…お前の顔が近いからだよっ」
「オレの顔が近付く前から赤いじゃん」
「そんなことねぇよ」
「あるってば……あ」
「?」
「………勃ってる♪」
「!?」
慌てて手で抑えた。
だけど由自の手によってやんわりとどかされる。
「たまってんなら言えばいいのに」
「い…言える訳ないだろっ?お前…あんなに真面目にやってんのにオレがこんな、不謹慎なこと考えてるなんて……言える訳ない…」
「不謹慎じゃないよ。むしろ嬉しい」
「嬉しい?」
「俊さ、オレが禁欲するって言ったらめっちゃ喜んでたじゃん。オレ結構あれ傷付いた」
「なんで?」
「オレのエッチってそんなに嫌なのかなぁって」
「そ……そんなことないよ」
「…ん、わかってる。だから俊が欲情してくれて嬉しい」
「で、でもヤらないで……」
ムッ
「なんで」
「ヤったら由自、止まらなくなるだろ」
「……それはまぁ」
「だろ?だからダメ」
「俊はこれ、どうすんの?まさかそのままでオレに勉強教えるつもりかよ」
言葉に詰まった。
「自分でする?」
「ぅ………」
「どうする?」
由自に迷惑かけたくない。
でも自分がこのままでいい訳ないし。
どうしよう?
でもまたこういうことがある。
だったらひとりでできるようになってた方がいいよな。
「ひ…ひとりでする……」
一瞬、由自は残念そうな顔をしたけど、すぐに楽しそうな表情に切り替えた。
「わかった。見てる」
「え?」
「手は出さないでちゃんと勉強してるからさ、俊は隣でヤってて」
「………うん」
オレはジーパンのフックに手をかけた。
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