《MUMEI》

「…っと。」


ボールを止める僕。


「?」


(何だ?


せっかくボール取ったのに…


普通はそのまま勢いで来るもんだと思うけど…)


そうだね。


僕と翔太がいるんだ。


普通はそのまま攻めると思うだろうね。


普段ならそうするもん。


けどここはあえて、


セットプレーで攻める。


「ほい。」


僕が千秋にパス。


その間に僕と翔太はノーボールクロス。


ノーボールクロスってのはボールを持たないでのクロスすること。


翔太をセンターに置きたいから。


千秋は基本ステップから翔太へパス。


う〜ん…


基本ステップはできてるんだけど攻める位置が違うね。


インを攻めてもずれないんだよ。


アウトを攻めないと。


「千秋、


次クロス行くぞ。」


「はい!!」


(でかい声で作戦言いやがって…


舐められてるな…)


翔太から僕にパス。


僕から翔太へ。


そして翔太と千秋のクロス。


(アウトに行け。)


クロスの瞬間。


翔太が千秋へ指示。


千秋はボールを持って僕側のアウトへ。


「あっ!!」


そ。


僕がディフェンスを抑えてる。


アウトはがら空き。


これがフリーの空間。


シュートを打つ千秋。


「ナイッシュー!!」


いいじゃん!!


今のシュート!!


自然とプロンジョンになってるし!!


てか…


「くはは!!


だっさ!!


恭介入れられてやんの!!」


「…」


(ば〜か。)


ボールを投げる恭介。


「…あ。」


「クロさん!!」


やべ…


これ2点連取だった…


完璧遅れた…


「お前の方がだせ〜よ!!


ばーか。」

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