《MUMEI》

−−夢を見た。






何故か高校時代の直哉に抱かれている俺。





キスが恥ずかしくて、俺からは舌を使えない。






服を脱がされるだけで身体に震えが走る。





甘い愛撫に声が漏れそうになり、唇をギュッと噛み締めた。





身体が少しづつ繋がり、あまりの痛みに涙が溢れる。





俺は必死に背中にしがみつき、痛みと恥ずかしさに堪えた。





………


…………。





秀幸の寝顔をじっと見つめる。




2〜3日放置されていそうな不精髭。



クシャクシャな髪。




…鼻毛が一本






エイッと抜いたら瞬間物凄い形相になり、光る涙が一滴頬を伝い…しかしまた普通の寝顔になった。

「は〜…、おもしれ…、ア〜ン」





抜いた鼻毛を開けっ放しの口に入れたらもぐもぐ食べた。





俺は声を殺しながら悶絶!





ヒ〜ヒ〜!わ、笑いたい!!






夢の中の俺はきっとまだなかなか身長が伸びなかった時代で。





声も変わったんだかまだ変わってなかったんだかの頃の筈。





髭もまだ生えてなくて…、





ふと顎を触ると一晩分の髭が指先に伝わってきた。






「秀幸はどっちの俺が好き?」






…な〜んて言ってみたりして……。







あの頃は純情だったな。




はあ…







秀幸はどんなんだったんだろうな












END

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