《MUMEI》
−−夢を見た。
何故か高校時代の直哉に抱かれている俺。
キスが恥ずかしくて、俺からは舌を使えない。
服を脱がされるだけで身体に震えが走る。
甘い愛撫に声が漏れそうになり、唇をギュッと噛み締めた。
身体が少しづつ繋がり、あまりの痛みに涙が溢れる。
俺は必死に背中にしがみつき、痛みと恥ずかしさに堪えた。
………
…
…………。
▽
秀幸の寝顔をじっと見つめる。
2〜3日放置されていそうな不精髭。
クシャクシャな髪。
…鼻毛が一本
エイッと抜いたら瞬間物凄い形相になり、光る涙が一滴頬を伝い…しかしまた普通の寝顔になった。
「は〜…、おもしれ…、ア〜ン」
抜いた鼻毛を開けっ放しの口に入れたらもぐもぐ食べた。
俺は声を殺しながら悶絶!
ヒ〜ヒ〜!わ、笑いたい!!
夢の中の俺はきっとまだなかなか身長が伸びなかった時代で。
声も変わったんだかまだ変わってなかったんだかの頃の筈。
髭もまだ生えてなくて…、
ふと顎を触ると一晩分の髭が指先に伝わってきた。
「秀幸はどっちの俺が好き?」
…な〜んて言ってみたりして……。
あの頃は純情だったな。
はあ…
秀幸はどんなんだったんだろうな
END
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