《MUMEI》
白紙の進路
「祐也、何位だった?」

「六位」


俺は、期末テストの結果と学年順位が書かれた紙を志貴に見せた。


ちなみに、中間テストは俺の入院中にあり、俺は皆より遅れて一人で受けた。


その時の順位も今と同じだった。


「国語が足を引っ張ってるわね」


志貴は俺の点数を見てキッパリ言った。


俺は、国語だけが七十点で、数学が満点、後が九十点台だった。


中間から、俺は精一杯実力を出していた。


「勿体無い」

「仕方ないよ」


俺は苦笑するしか無かった。


「国語が良かったら、余裕で国立狙えるのに」

「志貴は今の段階で十分狙えるだろ?」

「大学には興味無いから。
行くなら、専門かなぁ。服飾系の」


(そっか)


志貴は、父親の経営するショップを継ぐ予定だった。

(進路、かぁ…)


自分の未来など、今で精一杯な俺には想像できなかった。


忍とは、最初普通の私立大学に出て、普通の中小企業に就職する計画を立てていたが…


旦那様が、『地味に目立たないのが普通ではない』という遺言を残した事が発覚してから


俺の進路は白紙になっていた。

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