《MUMEI》

「突然、いやですわサキ様……」

瞳子さんは真っ赤にさせて恥ずかしさのあまりに顔を手で扇いでいる。
周りの人達も口笛を鳴らしたりして盛り上げていた。

横から北条さんの奥さんが現れた。

「義母の言葉は、真に受け無いで下さいね。
本人達の意思で決めることですから、七生君だってまだ知り合ってから日も浅いことですし……」


「でも修平と知り合ってから結婚まで貴方は一年かかってませんよね?」

お祖母さんの発言に更に会場は盛り上がった。
七生はと言うと、仕事を終えて立ったまま寝ようとうとうとしていた……。

七生の馬鹿!

キスコールまで上がっているじゃないか、
七生は半目状態で瞳子さんと向かい合わせに立たされる。





嫌だ、
………………止めて!






でも、
瞳子さんは今日の主役でお姫様だったんだったっけ。

俺の胸に、ドロドロしたものが渦巻いた。


「安西……
二人でフケちゃおうって言ってなかった?」

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