《MUMEI》

「じゃ、これ資料室に運んどいてくれ」



そう言ってまっすーが指差したのは、
職員室の机の上の、大量の書類。



「…これ全部ッすか…??」


「うん。…生徒会の資料。
―…みつるが居てくれて助かったよ」



そう言って蓬田の肩を叩くまっすー。



「そうそう、資料室のドア、鍵が壊れてて…ドアストッパー忘れんなよ。
じゃ、よろしくー」



まっすーはそう言うと、職員室を出ようとする。



「え、ちょっ…まっすーは??」



おれが引き止めると、



「あー、オレ今から用事あんだわ。だから頼んだの。
…みつる、あとよろしく!!」



と、颯爽と出て行ってしまった。



「…なんだそれ…」



おれが呟くと、



「まあまあ…元々は私の仕事だから、椎名くん帰っていいよ」



蓬田が言う。



「いや、おれも手伝う」



…女1人にこんな仕事させられっかよ(まあ、身体は男だけど)、


ってか、まっすーもまっすーだよな。
おれがいなかったら、蓬田1人にやらせるつもりだったのか??



「…ありがと」



蓬田が、微笑む。



心臓が、ドクンと鳴った。

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