《MUMEI》

「資料室って、ここかな??」



蓬田が、古びたプレートを見上げる。



ドアを開けると、ぎい、と軋む音がした。



「きったね…」



思わず、呟く。


電気をつけたけど、切れかけてんのか、光は頼りない。



「なんか、暗いね…
早く終わらせて、出よう」



蓬田が言う。



「そうだな」



そう答えて、おれは資料室に足を踏み入れた。


資料、思ったより重い…



何とか資料を棚に置いて、出ようとした時。



ふっと、電気が消えた。



「きゃ、なに!?」



蓬田が声を上げる。



「…電球、切れたのか…??」



とにかく出ようと、携帯で足元を照らして進む。


扉に辿り着き、ドアノブを回す―…








ガチャッ!!



「開か、ない―…??」



何度回しても、開かない。



「あっ!!」



蓬田が思い出したように声を上げる。



「…忘れてた…ドアストッパ―…!!」



泣きそうな声。



おれも、すっかり忘れてた…



「でも、ほら、内側からなら―…」



鍵を回すが、それでも開かない。



「どうしよう、カギ壊れてるって先生言ってた―…」



蓬田はもう、殆ど泣き声だ。



なぜか辺りは急に暗くなった。


…夕立が来るのかもしれない。



おれ達は、閉じ込められた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫