《MUMEI》

展望台に到着し、出口に止まりミラーを覗くが、6Rの姿はなかった。

4〜5秒たった後ミラーに映り、後ろに並んだ。

その時、展望台に止まっていたバイクが6Rの後ろにつけた。

そのバイクに6Rは
前に行くよう促した。

俺の後ろにはGSXーRが並んだ。
彼は、深々と頭を下げ、俺は、それに左手を上げて応えた。


ポールポジションのあいつが、ゆっくりとコースインする。

3台がそれに続きコースイン。

バトル開始だ。

峠で難しいのは下りだ。

(成長振りを見てやるか(笑)
下りでがっかりさせるなよ!)

下りは、嫌がらせのようにコーナー毎にゼブラがしかれている。
小刻みな振動を受け、マシンはアウト側に弾かれる。
弾かれるながらもクリップを捉え、立ち上がっていく。

(本当に上手くなったな!)

あいつ、はフルバンクと言う一つの殻を破った。
それは目に見えて現れる。

フルバンクを極めると急激に速くなる。

(これじゃあ、追いつかれるのも時間の問題だな…)

だが一つ、欠点がある。それをあいつに教えてやりたい。

それをあいつが理解出来れば、俺より速くなるだろう。

言葉で伝えられない以上、走りで教えるしかない。

退避所に入ると、俺はあいつの前に出た。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫