《MUMEI》
俺と大悟
「愛しているのは変わらない。だけど、俺はいつか、あいつを傷つけるかもしれないのに」

自分が怖い。翔はたとえ強くても、女だ。

「お前の気持ちは分からなくもないぜ。でもな、言い伝えを守らなきゃ、罰が与えられるんだろ?」

大悟の言うとおりだ。いずれは結婚する。親父に会わなくてはならない。

「ああ・・・結婚をするまで、何年も付き合って、でも自信がなくて・・・」

「大丈夫だよ」
「え?」
「お前は人の痛みを分かる奴だ。しっかりあいつを守ってやれる」

それならいいけど・・・俺は、足取りを重くして、立ち上がる。

「お前がふらふらしてたら、翔は不安になるだけなんだからな」
「ああ。ありがとう」

少し、すっきりしたかもしれない。夜になり、俺は大悟の家を出る。

思えば、一番頼りになるのは大悟だったのかも知れない。

「・・・ありがとう」

独り言のように小さく歩きながらつぶやいた。



そのころ、翔は


「・・・・」
「いらっしゃい」
「母さん」

母と会っていたらしい。
「紀和さんとうまくいってる?」
翔はソファに腰をかけ、苦しそうな顔をしていた。

「ああ、もちろん!」
「いい加減その男勝りもやめたら

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