《MUMEI》

『「えっ…。」』


塁羅はティーカップから目線をずらし、紫吾と綺嘉を見た。


「目を開けた時、僕の目に最初に映ってのは勳羅でした。そして最初に聞いた声も勳羅の声でした。」


紫吾と綺嘉は何も言わず、塁羅を見ていた。


「僕は生き方を知りませんでした、喋ることも食べることをそれを教えてくれたのは勳羅とラルンだったんです。」


「記憶がないことを怖いとは思わないのか?」


「そりゃ怖いです、僕は親に捨てられたのかなって思うこともあります。」

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