《MUMEI》
春眠なんたら
5月
柔らかな日射しが降り注ぎ、全ての生物を睡眠へ誘おうとしている。
そんな中で、白取裕也は意識の淵へ落ちまいとシャープペンをノートに走らせる。
惰性のままに黒板を写しながら、ふと斜め前からの視線を感じた。
ペンを止め、斜め前の席へ視線を向けると目を逸らされた。
斜め前の席に座っている子は、名島綾。女の子だ。
小柄で小動物のような印象を受ける。
密かに裕也が淡い想いを寄せる相手だ。
(暇なんかね、、)
目を逸らされたショックはない。微塵も。
裕也は自分に言い聞かせた。
いつの間にかペンを走らせる手は止まり、静かな寝息を立てる裕也。
眠りに入った裕也を、飽きもせずに綾は見つめていた。
校庭の木々が春風に揺られていた。
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