《MUMEI》 服装ダメ出し「いや〜、助かったよ! 志貴の分の計算機無かったの今朝わかってさ! うち、一対一の接客で、レジに並ぶ前に合計金額確認する仕組みだから」 閉店後、龍平さんはうっすらとかいた汗を拭いながら話しかけてきた。 店員五人分の計算機はあったが、今年からバイトに入った志貴の分を用意し忘れたらしい。 ちなみに、普段は、五人はシフト制で、二〜三人で接客しているらしいから、計算機は余裕で足りていた。 「それに、この時期は、予算内でおさめたい新規のお客様多いからね。 本当にありがとう、祐也」 「いいよ、もう。それより、そろそろ、行かなくていいのか?」 貴子さんは、既に閉店前に仕事を終え、『先に行ってるから』と言っていた。 その時、志穂さんも一緒にあがっていたのが、俺は少し気がかりだったが、今夜はイブだから、家族の為に早めに帰ったのだろうと思っていた。 「そうね。でも、その前に着替えないと」 「? このままじゃ、ダメなのか?」 「祐也は、ダメよ」 (俺『は』?) 確かに津田一家に比べたら、俺の服装は地味だと思ったが… 「ちょっ! 待て! これおかしいだろ! 絶対おかしいから!!」 前へ |次へ |
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