《MUMEI》
漫画のような
また彼は寝ている。
後でノート見せて、と言われるんだろうな。
少し見やすいようにノート取ろうかな、、。
「裕也ー、いつまで寝てる気?」
誰かに呼ばれた。
裕也はいつの間にか寝てしまったようだ。
誰かに起こされた裕也は二度寝をしたい気持ちを抑え、名前を呼んだ誰かを探す。
周囲の様子を伺うと、隣の席の女の子と目があった。
「俺を起こしたのは香織さんですか、そうですか。……後でノート見せて。」
「ん。」
気のない返事を返す彼女は、杉浦香織。
2年の時の大半が彼女の隣の席だった。
そして、何の因果か3年に入っても、席が隣になってしまった。
色恋に敏感な周りからは、当然もてはやされた。
(よく考えなくても凄いよな俺等)
ノートに何かを書き込む香織を見ながら思う。
恐らく綾がいなければ好きになっていただろう。
「はい、ちゃんと明日返してよ。」
「うぃー、了解。」
受け取ったノートには、可愛らしいキャラクターのシールが貼られている。
ノートを開くと綺麗な字が目につく。
(なんだ?)
今日の授業のページを見た瞬間、違和感を感じた。
「杉浦、シャー芯変えた?」
「え、まぁ、変えたわよ。」
「あ、やっぱりな。伊達に毎日、お前を見ている訳じゃないからな。」
悦に浸る裕也は気付かなかった。
一瞬、香織が辛そうに顔をしかめた事を。
一瞬、斜め前の席の綾がこちらに視線を送った事を。
梅雨が近い。
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