《MUMEI》

お互い奇声を上げていた。


「な、なんでお前がここにいるんだよ!!!」


そいつが俺に言い詰め寄って来る。


「それはこっちの台詞だ。」


俺も負けじと言い返す。

「お前はここにふさわしくねぇ!!」


「お前こそここに居たら死ぬぞ!!」


「とっとと名門校に行きやがれ!!!」


「お前もな!!」


はたから見て訳の分からねぇ言い合いをしながらも、
久し振りに出会えたダチに懐かしく思う自分がいる。


相手も同じ気持ちなのか、
どこか遠くを見る様な目付きをしていた。


しかし、久し振りなせいもあって、
本当にコイツが以前よくバカやったダチに思えなくなって来た。


ところがその疑いは一瞬にして消え去った。


「やっぱり颯ちゃんだっ」


昔よく言われたあだ名。

このあだ名で呼ぶのを許した奴は、
コイツとあともう一人しかいない。


「本当に蓮翔ちゃんか?!」


思わず口が緩む。


「おうっ!
怒涛のピッチング裁き、
桐海蓮翔(きりかいれん)とは俺様のことよっ!!」


そいつはいたずらっぽい目をして、
おどけて見せた。


「お前も本当に颯ちゃんか?!!」


「おうっ!
華麗なジャンピング裁き、
滝澤颯馬とは俺様のことだ!!」


俺も蓮翔ちゃんの真似をして言い返した。


そして二人してまた目があった瞬間…


『うぉーーーーー!!!!!!!!!』

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