《MUMEI》 会場到着「祐也、ねぇ…怒ってる?」 (…こんな格好させられて、怒らないわけないだろ) 俺は龍平さんの車の中でずっと不機嫌だった。 「ごめんね。だって、文化祭の時見れなかったから、つい…」 (『つい』で、ここまでするか?) 「そろそろ、機嫌直してくれないかな? 君が不機嫌だと、皆に怒られそうだし」 「… … … 『皆』?」 「そう」 龍平さんは、ウインカーを出した。 そこにあったのは、外車ばかりが… (…あれ?) 高級車ばかりの駐車場かと思ったら、一台普通の車が停まっていた。 「仲村家も来てるのね」 「は?」 そして、龍平さんの車が、広い駐車場の、空いているスペースにきっちり入った。 駐車場の横には、立派な日本家屋があった。 表札には 「高山!?」 俺は思わず声に出していた。 「ここ、母さんの実家なの。さ、祐也。お祖母ちゃんが祐也の事、首を長〜くして待ってるから、行こう!」 「え? 実家? お祖母ちゃん? え? って…」 (この格好で高山一族の前に出るのか!?) 俺は志貴に引っ張られながら、高山家の玄関に入った。 龍平さんは、既に中に入っていた。 前へ |次へ |
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