《MUMEI》

昼休み。


「颯ちゃんっ。」


振り返ると、どアップの蓮翔ちゃんの顔があった。


「昼メシ一緒に食わねぇ?」


「別に構わねえけど、いつも吊るんでる奴とはいいのかよ?」


「ああ、大丈夫大丈夫。今日はお前と食べるの。」


「あいっかわらず人なつっこいな。」


「ははっ、颯ちゃんは別だって。颯ちゃんこそ、いつも食べてる奴とはいいのか?」


「ああ、この通り、一般人を寄せ付けない主義だから。」


「……??」


「どうした?ここ笑うとこだぞ。」


「ん、ははっ、いやわりぃわりぃ。」


他愛の無い話しをしながら笑い合っていると、どうも視線が気になって来た。


「あ、また居るよ。」


「ん?」


「密かにファンクラブ作ってるらしいぜ。」


蓮翔ちゃんがウザそうに言う。


「へぇ〜、蓮翔ちゃんモテてんだ。」


それもそのはず。


クリっとした二重の目に、絶妙な細い鼻、薄い唇。


そしてやはり極め付けは茶髪のナチュラルな髪型。


そういや、耳にピアスまで付けている。


「ふふん、ヤキモチ?」

「んな訳無いだろ。だって昔の蓮翔ちゃんはすっげぇ泣き虫ーーー」


「ばっバカっ」


慌てて蓮翔ちゃんが俺の口を塞いだ。


だがもう遅かったらしい。


「キャーーー!!!」


途端に蓮翔ちゃんを見に来ていた女子が一斉にどこかへ走っていった。

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