《MUMEI》
パーティー開始
「じゃあ、皆揃った所で…」


(うわ? まだいたのか?)


ゆっくり立ち上がったのは、優しい顔立ちの老人だった。


それは、あの老婦人の夫で、『お祖父ちゃん、頑張って』と皆に声をかけられていた。


(お祖父ちゃんだけは普通なんだな…)


俺は、乾杯をしながらそう思っていた。


「ほら、姫! いっぱい食べな! 俺と秀さんの力作の数々!」

「後で志穂さんのケーキもあるからね」

「あ、あぁ…」


高山一族の中で萎縮する俺を気遣ってか、祐と志貴がやたらと世話を焼いてくれた。


(そういえば、あの二人はどうなったんだ?)


俺は、二人の隙間から、高山と希先輩の姿を探した。

二人は一緒にいたが


(…ん?)


変態双子の片方も一緒にいた。


[厳は希がお気に入りなんだよ]


残りの片方ー頼が俺達の所にやってきた。


「おい、頼。お前日本語ペラペラなんだから、日本語喋れよ」

[祐也はわかるよね?]


祐を押し退けて、頼が近付いてきた。


「わかるけど、志貴や祐が困るから、日本語で喋れよ。
親戚なんだろ?」

「祐也姫の仰せのままに致します」


頼はスラスラと普通日本人でも使わないセリフを口にした。

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