《MUMEI》 火花飛び散る会場「頼、お前祐也には手を出すなよ」 「厳が希に手を出すのはいいのかい?」 「厳は、希の意志を尊重する」 「俺だって、祐也の意志を尊重するよ」 頼が俺にウインクしてきた。 「祐也は好きな人がいるのよ」 「そう言われて、フラレた?」 頼の言葉に志貴は赤くなった。 「やめろよ」 「そうだよ。全く、家族で楽しむイブに、あっちでもこっちでも火花散らして…」 大さんを始めとした大人の男性陣が、俺達の間に入った。 あっちの… 希先輩を巡って火花を散らしていた厳と高山の間には、志穂さんを始めとする女性陣がいた。 「それから、田中君…御指名だよ」 (ゲッ!) 俺の視線の先には笑顔で手招きする『お祖母ちゃん』の姿があった。 この場は落ち着いたが… まだまだ俺は、楽しいクリスマスイブを過ごせそうも無かった。 「…御挨拶が遅れて申し訳ありません 志貴さんの高校の同級生で、田中祐也と申します。 あと、祐さんと…」 「そこは知ってる。 私は、高山果穂。こっちは大志」 そう言って立ち上がった『お祖母ちゃん』は、俺より身長が高く背筋も曲がっていなかった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |