《MUMEI》
朝起きて、電車乗って、
ジリリリリリリリ、ジリリリリリリリ

うるさいなぁ

ジリリリリリリリ、ジリリリリリリリ

うるせぇって

ジリリリリリリリ、ジリリリリリリリ

「だぁぁ!うるせぇって言ってるだろうがぁぁ!!」
「お前がうるせー!」

俺の枕元でジリリリと自己主張していた目覚まし時計を叩いて止めた途端、頭上から叫び声がした。気分を害したまま、顔をあげるとそこには金髪の髪をワックスで整えている男がいた。
「目覚まし時計はうるさくて当然だろうが、弟君よ」

俺はケッと言って上半身を無理矢理起こした。まったく…と言いながら台所で手を洗う背中を見ると、タンクトップから両肩の鯉の入れ墨が挨拶するように見えていた。
こんな奴が兄貴だなんて、道理で俺は転校が多いわけだ。
いやいやいや、別に兄貴はヤクザでもないし、暴走族でもないからね。あ痛してないから。警察様に捕まったことはないよ。…多分。

「おい、楓。電車乗り遅れるぞ」

ん。お兄様。さっきなんと申しましたか?
俺はひきつった顔を先程残酷にも殴り叩いて止めた目覚まし時計を見た。

オー、スバラシイネー。

見事に遅刻の数字を時計の針が指していた。8時47分だ。予定している電車には当然乗れない。いつものことだけれど。
俺はため息をつきつつ、立ち上がって制服の学ランを着た。ズボンをはいて、鏡の前で髪を整える。中身のない鞄を手にして「行ってきます」だ。

「いっつも思うんだけど、お前って髪サラサラってムカつく」
玄関でコンバースの靴を履いていると兄貴が呟いた。それに気をよくして跳ぶように玄関の扉を開けた。

スカッとした青い空に、白い雲。今日も最高だ。
遅刻以外は。



電車に乗り込むと、案の定学ラン姿は俺だけ。こっ恥ずかしい思いを無視し、いつも通りにメールのやり取りを開始した。

ガタンガタン、ガタン

この絶妙な音はいけない。そう。みんな俺と同じはずだ。
何って、眠くなるんだよ。うとうとし始めて、コクコク頭が揺れ、でっかい電車はただのゆりかご状態。いや、四角いこはこ?

そんなことを考えていたら、うとうとし始め…



寝た。

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