《MUMEI》
果穂の不安
「君の事はいろいろ聞いてる」

「はぁ…」


(いろいろってなんだろう)

俺は、パーティー会場の居間から、何故か果穂さんと大志さんの寝室に移動していた。


「私は、子供達や孫達がとても可愛いの。
特に、志穂や祐や希が」

「はぁ…」


俺は、果穂さんが何を言いたいのかわからなかった。

次の瞬間。


「君は何者?」


果穂さんは思いがけない質問を俺にした。


(何者って…)


「君の事、調べようとしたけど、君がここに来る前の事が何もわからなかったんだ」


それまで黙っていた大志さんが説明した。


(忍か)


そんな事をする人物を、俺は忍以外知らなかった。


「俺は、ただの高校生です」

「その割に、英語ペラペラだったし…

君、ゲイでしょ」


果穂さんは、断定した言い方をした。


「たまたま…」

「『好きになったのが男だった』?
それを世間はゲイと言うのよ」


果穂さんは、ずっと俺を睨みつけていた。


「果穂は、君がゲイだから、嫌いなんじゃないよ。

君の事がわからないから、君が、自分の家族に関わるのが不安なだけだ」


大志さんは、ずっと穏やかなままだった。

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