《MUMEI》 迫られる決断「つまり、志貴達に関わるなという意味でしょうか?」 「あなた次第ね」 ? 『そうよ』と言われるのを覚悟していた俺は、首を傾げた。 「あなた、過去に前科は?」 「…ありません」 「今の間は何?」 「…」 「何?」 俺が迷ったのは、旦那様の自殺についてだった。 「固有名詞は伏せて…説明できるかい?」 「しないと、どうなりますか?」 「来年、君はここにいない」 果穂さんの言葉は 俺が高山一族と 志貴達と縁が切れて、友達で無くなる事を意味していた。 (やるだろうなあ、この人は) 何となくだが、確信はあった。 それくらい、家族が大切なのだ。 (俺は、どうだろう?) 楽しげな、パーティー会場の声を聞きながら、考えた。 例え旦那様の名前を伏せても、あの一件を口にするのは俺にとっては苦痛だ。 (それでも、あいつらと友達でいるつもりか? 俺は?) 「どうなの?」 果穂さんに答えを迫られた。 「俺は…」 『ちょっとでも…なら、……しちゃ、いけないよ」 俺の頭の中に響いたのは、やはり春日さんの手紙の一部だった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |