《MUMEI》
進路相談
《高山一族の仲間入りか》

「違う!就職しないか誘われただけだ」


パーティーで気絶者が二名も出たし、いろいろ混乱していたから、俺は結局タクシーでアパートに帰ってきた。





洋服は、貴子さんから返してもらったが、着替を見られたくない人物が数名いたので、俺は…ドレスのまま帰ってきてしまった。


幸い? タクシーの運転手が俺を女だと思い込んでいたから、一応?助かった。


《旦那様の事まで話すとは》


忍のため息が聞こえた。


「だって…、後悔、しそうだったんだ。今、友達やめたら」


少しでも後悔するなら手放してはいけないと…


俺は、そう、春日さんに学んだから。


《…で、就職するのか?》

「まだ、わからない」


自分が旦那様に教わった事が、あんなにも評価された事は、正直嬉しかった。


しかし、まだ、…


(あの、祐の片腕っていうのがな〜)


俺は、忍が旦那様にしたように、祐に尽くす気持ちにはなれなかった。


果穂さんも、そこはわかっていたようで祐に、『尊敬される人間を目指しなさい』と熱心に語っていた。


《卒業までにちゃんと考えろよ》


忍にしては珍しく優しい言葉だった。

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