《MUMEI》 余計な気遣い翌朝、早朝。 ガチャリッ 玄関の鍵が開いた。 「忍っ!?」 「メリークリスマス、祐也!」 忍はスタスタと室内に入り 起き上がっていた俺を押し倒し、布団の中に引きずり込んだ。 「…何の冗談だ?」 「隣に聴かせる為だ」 忍はそう言って、俺に顔を近付けてきた。 確かに、隣の屋代さんは俺より少し後に帰宅したようだった。 …しかし 「待て待て、屋代さんは俺とお前の事は知らないぞ?」 「時間の問題だし、バレた時の為に一回位既成事実を聞かせた方がいい」 「これでバレたらどうするんだよ」 「もう、お前がゲイだと何人かにはバレてるんだろう? いいから、合わせろ」 「声だけで良くないか?」 「音も入れた方がいいだろう」 (お、音って…) 俺は忍が言う音が何か心配になった。 唇を重ねる音か 皮膚を吸われる音か 中をいじられる音か …重なり合う音か (待て待て待て!) 俺は、昨日の数倍混乱していた。 「最後までするつもりは無いが、それらしく聴こえるように合わせろ」 「ちょっ…待っ…」 俺達は布団の中で囁き合いながら、激しい攻防を繰り広げていた。 前へ |次へ |
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