《MUMEI》 忍の思惑「一度だけだから、我慢しろ」 そう言う忍は既に全裸だった。 「演技だろうな」 俺は忍にパジャマの上着のボタンを全て外されていた。 「…当然だ」 「…のわりに、…」 俺は忍の下半身を見つめた。 「自分で処理する」 「信用して、いいんだな?」 いい加減、忍が重くなってきていた俺は、諦めモードに入っていた。 「音は、これでも出せるからな」 忍は自分の腕を吸って、それらしいいやらしい音を出してみせた。 「最初からやれよ!」 「悪かったな。じゃあ、やろうか」 忍はまた自分の腕に吸い付くと、チュッと大袈裟な音を出した。 「…アッ…ンッ!…アア」 (こんなもんかな?) 音に合わせて、少し大きめの声を出した。 「祐也…」 「忍」 (この先の音はどうすんだ?) 俺は、忍を見上げていた。 「ちょ、忍?」 忍はそんな俺を起こして抱き締めた。 (今度は何だ?) 「悪いね。…今日は二人きりで過ごしたいから、帰ってくれるかな?」 忍が玄関に向かって声をかけた。 忍は、わざと鍵をかけずに外の人物に聞かせていたのだと、俺は初めて気付いた。 前へ |次へ |
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