《MUMEI》
衝動 〈おれ〉
2階まで降りたところで、雷が鳴り出した。


蓬田の泣きそうな顔が目に浮かぶ。



―…急がねえと。



木をつたって地面に降りる。

正直、怪我させんじゃねえかと心配だったけど、
元々高い所は好きだし、問題なく降りることができた。


雷の勢いが激しくなる。



階段を駆け上がり、3階の資料室へと急ぐ。


そのとき、



「―…椎名くん!!」



くぐもった、『おれ』の声―…蓬田の叫びが聞こえてきた。


おれは、足を速める。



―…何があった!!?




ドアノブに手を掛けたとき、





「……みつる!!!」






蓬田が、大きな声で、おれの名を呼んだ。

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