《MUMEI》

「っしゃあ、大吉!」

七生の雄叫びに乙矢の腕の中で眠っている三葉ちゃんが驚いて痙攣した。


「……チッ、中吉。」

乙矢もこればかりは七生に勝てなかったか。




「………………うわあ、俺、末吉だあ。」

嫌な年初めだな……。



七生に末吉しかめくって無いところを盗られた。

「うわ、二郎勉強悪いじゃん。旅行も危ない。恋愛はまだ結婚はするなと……?つかおみくじの文は読みにくい……」


「どれどれ……、我慢の年?転居は良い、耐え忍び何事も一生懸命取り組めば最後は必ず良い結果を導くみたいなことだな。」

ひいた本人よりも先に読み、勝手にべらべら話されるのは気持ち良いものじゃない。


「か、返して……」

俺が届かない高さに持ち上げ、見えないように角度を変えられた。
背伸びも難しい。


「「お産は安産だってさ。」」


「自分で読むから!」

そんな情報要らない!


「この末吉は大吉である七生様が責任を持って高めの木の枝に括りましょう!」


「だから俺に見せろよ!」

七生はさっさと木の方へと俺のおみくじを持ったまま居なくなる。


「今年もあのテンションか……二郎、絵馬は?」

乙矢に言われて思い出した。


「じゃあ、七生がいない間に書いてくる。」

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