《MUMEI》

「これで、両手が入るのであります。」


ましろは、声を上げることも、顔を上げる力もなくなっていた。


意識がどんどん薄くなってくる…。


「お姉ちゃん、まだ死んじゃダメであります。」


紗菜由は、小さな両手を斬った所から、中に入れた。


「ぐぇっ!!!」


ましろは血を吐いた。


紗菜由は
優しく心臓を握った。


ドクンドクン


心臓は
紗菜由の手の
中で動いている…

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