《MUMEI》 背中あいつも疲れたのだろうか。 俺を追い越したあと、ゆっくりと流すように下っていった。 途中のギャラリーコーナーにあいつの姿があった。 俺は左手を上げると、あいつは深々と頭を下げた。 (じゃあな…) 俺は峠を後にした。 あいつはもっと速くなる。 俺はあいつの役に立てただろうか… 俺の真意は伝わっただろうか… 俺の背中はどう見えた? 大きく見えたか? 小さく見えたか? 俺の背中で成長できたのか? どちらにしても… それが… 親父の背中だ。 元気でな… … … 俺が、この峠をはしったのは、この日が最後だった。 おわり 前へ |次へ |
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